低フォドマップ食の背景
低フォドマップ食の背景
20世紀まで、過敏性腸症候群(IBS)の主な原因はストレスや自律神経異常と考えられてきました。また、いわゆる悪玉菌が悪影響しているとも言われてきました。そのため、患者さんはカウンセリングを受け、抗うつ剤を投与され、善玉菌を増やすとされるヨーグルトなどを飲むように指導されていました。
しかし、21世紀になり、そのような治療の効果がおもわしくないことから、それらが主たる原因ではなく、何等かの食事が影響しているのではないかと考えられるようになりました。その背景には、以前から、小麦粉や牛乳など個々の食品について、IBSとの関係が問われていたこともあります。そして、IBS患者の食事と症状の関係が分析され、多くのIBSの患者では、小腸で吸収されにくい糖類などが、吸収されないまま大腸に運ばれ、大腸の腸内細菌で過剰に発酵するためではないかと考えられたのです。それを科学的に研究し、検証し、原因物質をFODMAP(フォドマップ)と定義したのが、オーストラリアの医師と栄養士でした。そして、単に1種類や2種類の食事を規制するのではなく、IBSの原因として考えられる全てのFODMAPを一定期間抑制(禁止)し、症状の軽減を確認したうえで、その後、原因物質を特定してゆく方法が低フォドマップ食として提案されました。
一方で、アメリカを中心に、IBSのなかに、大腸の発酵菌の増加やSIBO(小腸内菌増殖症)が多いため、これらの菌を抗菌剤(リファキシミン)で減少させて、菌の異常発酵を抑制しようとする治療が同じ時期に始まりました。
それらはともに、腸内での発酵を抑止するにはどうすべきか?を考えた治療です。しかし、この考えは、20世紀の「腸内細菌を発酵させて腸内環境を整える」という概念(プロバイオティクス、プレバイオティクス)と全く相反するものであり、衝撃的なものでした。そのため、低フォドマップ食が20世紀のIBSの食事療法よりも優れているのか?さらに、低フォドマップ食では小麦粉の食品を制限するため、小麦に含まれているグルテンを摂取しない要素が含まれており、低フォドマップ食の効果というのは「グルテンフリー食」の効果なのではないか?など、さまざまな問題が浮上しました。それらに対し、オーストラリアの研究グループを中心に検証が行われ、低フォドマップ食がプロバイオティクスや20世紀の食事療法、さらに、グルテンフリー食と比して同等以上の有効性があることが証明されてきました。
office uno columnホームページ より引用
https://office-unocolumn.jimdo.com/about/
低フォドマップ食の基本はこちらにあります。
- 過敏性腸症候群の低フォドマップ食(FODMAP)
- Office Uno Column
- 本
概要のプレゼンです。
低フォドマップ食:概論